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西利研究室が教える “ぬか漬の秘密”

かつて家庭で作られていた「糠漬(ぬかづけ)」も、最近では減少傾向に…。
目にする機会はあるものの、あらためて「糠漬ってどんなお漬物?」といわれると、はっきりとはわからない、という方もいるかもしれません。
そんな糠漬のことをもっと知って触れてもらおうと、先日西利では、弊社の研究室 平井室長による糠漬教室が開催されました。
今回、その模様をレポートすると共に、知っているようで知らない糠漬の魅力や歴史を紐解きながら、“糠漬”についてお伝えします!

【この記事の主な内容】
・知っているようで知らない糠漬
・糠漬は、江戸時代の救世主だった!?
・糠漬Q&A


平井啓理
京都府立大学農学部農芸化学科卒業。京都府立大学大学院農学研究科生物機能学専攻細胞高分子学講座 博士前期課程修了。2013年「京つけもの西利」取締役兼研究室長に就任し、現在に至る。主に「ラブレ乳酸菌、GABA」の研究の他、商品開発、品質管理全般に携わる。

知っているようで知らない糠漬

ー今日は、よろしくお願いします。

よろしくお願いします。この糠漬教室では、漬物のことを多くの方に知っていただける機会を設けることができて大変嬉しく思います。記事を読んでもっと興味を持っていただけると幸いです。


糠漬教室では、糠漬の基礎知識や歴史のほか、作り方のレクチャー、試食会が行われました。


ー早速ですが、糠漬について教えてください!

糠漬とは、「米糠」を主に乳酸菌によって発酵させた糠床に、季節の野菜を漬け込んで作った発酵漬物です。さらに季節の野菜を糠床で保存しながら、美味しく食べることができる「賢い食べ物」でもあります。

「糠(ぬか)」とは、玄米を精米して白米にする時に、削ってしまう米の外皮「米糠」のこと


ー発酵漬物というだけあって、発酵の酸味が食欲をそそりますね。

発酵による独特で芳醇な香りもあり、生野菜にはない旨味を楽しめます。特に食欲が落ちやすい夏場には、ご飯と一緒にさっぱりとお茶漬にしても美味しく召し上がっていただけますよ。

ーつい、食べたくなってしまいますね……!(笑)

野菜を生で食べるより、栄養面から見てもおすすめです。糠漬には、ビタミンB群という栄養素やミネラル分が多く含まれています

ビタミンB群は基礎代謝によって常に失われる上に、水に溶ける性質のため、夏場は特に汗と共に排出されやすいんです。糠漬を食べることで、夏に不足しがちなビタミンB群やミネラル分を手軽に取り入れることができます。

 

糠漬は、江戸時代の救世主だった!?

ー糠漬はいつ頃から食べられていたのでしょうか?

漬物自体の歴史はとても古いので、古文書から推測することしかできません。平安時代初期の「延喜式(えんぎしき)」という宮中行事を記録した書物の中には、数種類の漬物の記述が残っています。その中に穀類や大豆の粉末の漬け床に野菜を漬け込んだ「須須保利(すずほり)」という漬物が登場しますが、それが一般的に糠漬の元祖なのでは?といわれています。

ー穀類や大豆の粉末の漬け床にするとは、まさに先人の知恵ですね。現在のように米糠が主流になったのはいつからなんですか?

もともと糠漬は各家庭で作られたので、米糠を漬け床として使用する習慣がいつ生まれたのか定かではないんです。興味深い説としては「江戸わずらい」があります。

ーそれはどのような説なんでしょうか?

もともと日本の食生活は、玄米や稗・粟・黍などの穀物が中心でしたが、文化や流通の発展などによって、江戸時代に白米を食べる習慣が広がりました。
前述の通り「米糠」には栄養が豊富に含まれているのですが、白米にする過程でその部分は取り除かれてしまうんですね。
そのため当時の江戸の町では、ビタミンB1の不足により起こる疾患「脚気(かっけ)」が流行り病として多発したんです。江戸を離れて玄米などの栄養を摂る食生活に入るとすぐに快癒したため、その症状を江戸の風土病ととらえ、「江戸わずらい」と呼ぶようになったとされています。そういった事情もあって、糠漬の効果や効能が評価されるようになり、米糠の漬け床が一気に広がったといわれます。

ー江戸時代の糠漬ブーム…とても興味深い一説ですね。

日本人の主食である米は、栄養が豊富な「糠」を大部分とり除いて精米してしまいます。でも、糠漬を食べれば、それを取り戻すことができるんです。また栄養だけでなく、乳酸菌も摂取できます。

ー美味しくて、栄養も乳酸菌たっぷりなんですね。
今年の夏は、ぜひ糠漬の発酵パワーを感じてみてください!
ちなみに弊社の糠漬は、京都三大漬物のひとつ「すぐき」から発見された「ラブレ乳酸菌 」という乳酸菌で発酵熟成させた糠床で漬けています。


健康漬物「ラブレ糠漬」

少し宣伝っぽくなってしまいました…(笑)といっても糠漬といえば、やはり家庭漬もおすすめ。自分で糠床を管理・お世話して、その日の味の違いを感じるのも楽しいですよ。

西利の漬物教室 “糠漬の作り方講座”

ー糠漬は初心者でも作れますか?

もちろんです、難しい技術はいりません。ただし、はじめて挑戦する方に気をつけて欲しいのは、雑菌が繁殖してない綺麗な糠を用意すること。糠床は塩と水があれば作ることができます。糠床に野菜を入れると乳酸菌が繁殖して発酵するので、乳酸菌が快適に暮らせるように、こまめにお世話をしてあげてくださいね。

ー糠床の管理は、難しそうなイメージがありますが…

コツをつかめば簡単ですが、1日1回は糠床を混ぜることは忘れないでください。底を混ぜないと菌が繁殖しすぎてしまい、匂いが変化してきます。糠床からアンモニア臭がしたら注意です。糠床を混ぜる時は、天地をひっくり返して入れ替える意識が大切です。

ー糠漬は日によって風味が異なるといいますよね。

糠床はまさに生き物、育てるものなんです管理方法によっても糠漬の風味には違いがでますよ。美味しい時もあれば、酸っぱく感じる時もあるんです。ご近所の方やお友達同士で「ぬか友」を作って、食べ比べをしたり、糠床を交換するのも楽しいのではないでしょうか。


教室の後半では参加者による質問タイムがありました。その一部をご紹介!

Q、はじめて糠漬を作ってみようと思うんですが…糠床を入れる容器は何がいいですか?

ホーローや陶器などで構いませんが、初心者には、密閉袋も便利ですよ。空気を抜きやすいので、カビによる失敗が少ないです。ぜひ、チャレンジしてみてくださいね。


Q、糠床はどれくらいの硬さで作ればよいでしょうか?

味噌が少しゆるくなった程度の硬さが理想です。シャバシャバにならないように注意して調整してくださいね。

Q、糠床を作ってすぐに野菜を漬けてはいけないのでしょうか?

新しく作った糠床は、発酵させるための「捨て漬け」が必要です。くず野菜※をキレイに洗って糠床に入れ、20~30℃くらいの暖かい場所に置いておいてください。翌日になったら取り出し、また新しいくず野菜を入れる。これを夏場は7〜10日、冬場は10日〜2週間程度くり返します。この「捨て漬け」の工程が終わったら、材料を漬けられるようになりますよ。

※くず野菜:人参の皮や大根の切れ端など、料理で余ったり捨ててしまうような部分

Q、糠漬の塩分が気になりますが、毎日食べても大丈夫…?

漬物の塩分は、約2%程度。糠漬も100gで塩分2gですから、1日20gを食べても食塩は約0.4gです。


Q、糠床に賞味期限はありますか?

糠床には100年たっているものもあるほど、きちんと管理すれば永遠に使えるものです。夏は冷蔵庫に、冬は室温で保管して、こまめな管理をしてあげることが大切ですよ。

Q、漬けていると糠床が水っぽくなることがあるのですが…

野菜からの水分が原因ですので、ペーパータオルなどで表面の水分を吸いとってください。水分で糠床が柔らかくなりすぎたり、糠床が少なくなってきたりした時は、ぬかと塩少々を加えると元に戻りますよ。また、糠床の塩味が薄くなってきた時には、いつもの塩味となるように塩を足してください。

糠床ビギナーでも安心、西利の糠漬セット


健康漬物 乳酸菌ラブレ糠漬セット
ラブレ乳酸菌入りの糠床で漬けた野菜を美味しく味わっていただけます。
「ほどよく糠漬」は、ほどよく漬かった食べごろの糠漬。「下漬パック」付きなら、糠床に漬け込んで好みに合わせた糠漬が作れます。
糠床ビギナーでも、糠床を漬物と一緒にお届けするため、手軽にトライできますのでおすすめです。


乳酸菌ラブレ糠漬セット ¥2,430(税込)
糠漬(四葉胡瓜1本・茄子1個・白菜223g・大根1/4割)、ひたし醤油340ml
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乳酸菌ラブレ糠漬セット ¥3,456(税込)
糠漬(四葉胡瓜1本・茄子1個・瓜 半割)、下漬パック(四葉胡瓜1本・茄子1個・瓜 半割)、漬け込み用糠床1袋、ひたし醤油340ml
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